京都、四条河原町、ここで筆者は一人の女子大生に出会った。彼女は昼間は四条河原町にあるおしゃれなカフェでアルバイトし、夜は出会い系サイトやSNSで知り合った中年男性とパパ活、援助交際をしてお金を稼いでいます。
彼女の名前は美咲(仮名)。児童養護施設で育った20歳の京都のある私立大学に通う見た目はごく普通の女子大生です。しかし彼女の背景は多くの困難に満ちており、その経験は彼女の現在の生活に深く影響を与えています。
幼少期の経験
美咲は、幼い頃に親と離れ離れになり、非常に幼い頃に児童養護施設に入れられ、家族の暖かさや安定した家庭環境を知らずに成長しました。このような境遇は、彼女の自尊心と世界に対する信頼を形成する上で、困難な障壁となりました。
美咲の幼少期は、多くの子どもたちが享受する安定した家庭環境とは異なっていました。彼女が記憶する最初の家は、児童養護施設の冷たい壁に囲まれた部屋でした。彼女の母親は重い病気に苦しみ、父親は早くに家族を去ったため、美咲は生後まもなくして施設に預けられました。
施設での生活は規則正しく、感情を表に出すことはほとんどゆるされませんでした。美咲にとっての日常は、他の子どもたちとの小さな争いや、時折訪れるボランティアによる慰めの時間で構成されていました。特に彼女が心待ちにしていたのは、地元の図書館から訪れる読み聞かせボランティアでした。その時だけは彼女も他の子どもたちも、別の世界に思いを馳せることができ、現実の厳しさから一時的に逃れることができたのです。
ある冬の日、施設に新しいカウンセラーがやって来ました。彼女の名前は佐知子さんで、美咲に特別な関心を示しました。佐知子さんは美咲が孤独であること、そして他の子どもたちと違って本を読むことに熱中する様子に気づいたのです。佐知子さんは美咲に対し、個人的な時間を使って読書の楽しさだけでなく、感情を表現する大切さを教えました。美咲は佐知子さんから、「自分の感じたことを人に話すことで、心が軽くなる」という教えを受け、徐々に心を開くようになりました。
この出会いは、美咲の人生において大きな転機となりました。彼女は自分の感情に正直になる方法を学び、また他人との関係の築き方についても新たな理解を深めることができました。佐知子さんとの関係が深まるにつれて、美咲は自分自身と向き合う勇気を持つようになり、孤独感を乗り越える力を少しずつ身につけていきました。
この幼少期の経験が、美咲が後に直面する困難な選択を乗り越えるための精神的な基盤となったのです。施設での生活、佐知子さんとの出会い、そして孤独との向き合い方が彼女の性格形成に大きな影響を与えました。
彼女は自分と同じような子供たちの力になれるような仕事をしたいと思い猛勉強を重ね志望する大学に合格しました。
援助交際という選択
美咲は猛勉強をし大学生となりましたが、彼女の日常は、多くの学生が経験するキャンパスライフとは大きく異なっていました。学費と生活費を自分で稼ぐ必要がある彼女にとって、アルバイトの収入だけでは足りず、選択肢は限られていました。
最初に援助交際を決意した日、美咲はSNSを通じてある男性と連絡を取りました。彼は40代のビジネスマンで、彼女に対して礼儀正しく、最初のメッセージで彼女の学業について尋ねるなど、表面上は優しさを見せていました。約束の日、彼は都心の高級ホテルで彼女を待っていました。美咲は緊張と不安で一杯で、その場に向かう足取りは重かったです。ホテルの一室で彼と対面した時、彼女は自分がどのような決断を下したのかを改めて理解し、その重みに押しつぶされそうになりました。
その日、美咲は必要な金額を手に入れましたが、帰り道の電車の中で涙が止まりませんでした。お金を手にしたことで一時的な安堵感はあったものの、自己嫌悪と孤独感に苛まれていました。その後も、経済的な必要性から数回にわたり援助交際を続けましたが、毎回、彼女の内面では大きな葛藤がありました。彼女は、この選択が自分の価値や未来にどのような影響を与えるのかを常に考えていました。
大学では、美咲は学業にも真剣でした。彼女はクラスでの成績が優れており、将来は社会問題に取り組む仕事に就きたいと考えていました。しかし、夜遅くまでの仕事と早朝からの授業のスケジュールは彼女を身体的にも精神的にも消耗させました。時には授業中に眠ってしまうこともあり、学業の質が低下することを彼女自身が懸念していました。
社会が果たすべき役割
美咲のような苦境に立つ女子大生たちの状況は、日本の高等教育資金の問題を浮き彫りにします。美咲が指摘しているように、親がいない、あるいは経済的に支えることが難しい背景から来た学生にとって、高等教育の機会はさらに手の届きにくいものになっています。「パパ活して援助交際すればいい」というような状況は、社会がどれほど彼女たちの苦悩を理解していないかを示しています。
教育の機会はすべての人に平等に提供されるべきですが、現実は美咲のような学生がパパ活、援助交際や風俗で働くなど極端な方法に訴えなければならないほど資金面で困窮しています。2017年に給付型奨学金が導入されたものの、その予算が70億円と限られているため、多くの学生が恩恵を受けるには至っていません。これは、教育資金の支援がまだまだ不十分であることを物語っています。
このような状況では、給付型奨学金のさらなる拡充が急務であり、学生たちが学業に専念できる環境を整えることが社会全体の責任であると言えるでしょう。美咲のケースは、一人の例に過ぎませんが、彼女のように困難を抱える学生は数多く存在します。経済的な困窮が教育の機会を奪ってはならない、という強いメッセージを私たちは受け取るべきです。