横浜 関内の立ちんぼスポットに潜入取材 売春婦、男娼入り混じる援助交際の巣窟と化した魔境

新宿からはるばる電車に揺られ、神奈川県横浜の関内駅に降り立ったのは、夕暮れ時。夕日がビルの隙間からこぼれる光はすでに弱まり、影が伸びていく。あたりはすっかりと暮れかかっており、灯りが一つまた一つと点いていく。

横浜 関内、それはかつての繁華街。昔話に花が咲く老舗の酒場が隣接する新しいカフェ。歴史と新しさが混在するこの街で、しかし、夜の顔は一変する。夜の帳が下り、隠された都市の喧騒が始まる。

若葉町、ほんの10分ほど歩くと、そこには別の世界が広がっていた。かつては青線区域として知られ、売春が日常的に行われていたこの地域は、今もその名残を色濃く残している。ビルの影、暗がり、そこに立つのは立ちんぼと呼ばれる援助交際目的の売春婦の彼女たちだ。かつての黄金町からわずかに足を伸ばせば、その存在を目の当たりにする。

売春婦だけではなく男娼も入り混じる魔境と化した関内の夜

夜の幕が下りると、関内の表情は微妙に変わる。その変わりゆく街角で、僕はソムと名乗る美形の外人男性と出会った。
「遊ばない?」その声は、薄暗い路地から聞こえてきた。彼はタイから来たという。ミニスカートに身を包み、180センチを超える長身。彼の声は野太く、しかし彼の目は警戒を滲ませていた。この地で生計を立てるには、用心深さが必要だ。
彼の姿はまるで異国の物語から抜け出てきたかのようで、その周りでは、やはり夜の仕事をする人々がちらほらと見え始めていた。

ソムは僕に、しばらく日本に滞在していると告げた。彼の言葉にはどこか落ち着きがなく、その目は常に周囲を警戒しているようだった。「最初はお兄さんをポリスだと思ってた。ここはショートステイで、近くにマンションがあるんだ」と彼は言った。彼の日本語にはアクセントが強く、たまに言葉を選ぶように間を置く。

若葉町とその周辺地域では、長年にわたり路上売春が常態化しているが、2000年代からは特に男性売春の増加が顕著になってきた。昨年秋、国際的な新型コロナウイルス対策の緩和に伴い、外国からの訪問者が増えると同時に、この地域では一晩に30人から40人の男性売春者が声をかける姿が目立つようになった。これらの売春者はしばしば強引な客引きを行い、通行人の腕を引く行為も報告されている。この状況は地元警察の警戒を一層強める要因となっており、関連する取締り活動も積極的に行われている。

横浜の関内で援交目的の男娼が急増している理由とは?

神奈川県警は今年9月、若葉町及び周辺地域での男性売春者の増加に対処するため、疑わしい行動をとっていた17人の男性に警告を発した。警察が行ったパスポートの確認では、そのうち13人が客引き行為をしていたと見られ、全員がタイ国籍であることが明らかになった。

この地域で男性売春者が増えている背景には、コストパフォーマンスの高さが影響しているとの見解が示されている。隣接する横浜市曙町には日本最大のファッションヘルス街があり、70店舗以上の風俗店が軒を連ねるが、そのエリアで遊ぶための最低料金は1万円程度と高額である。一方、若葉町にいる男性売春者たちは若く、容姿端麗で、フェアチオのサービスの料金が3,000円から、また本番行為は1万円からと低価格で提供しており、「より安価で快楽を求める」多くの男性客からの支持を集めているという。こういう男性の立ちんぼと援助交際ができる地域は全国的にも限られているので男性客は関東全域のみならず日本中から集まってきている。

路上で客引き、そして本番行為を行う男娼たち

神奈川県の若葉町で男性売春が注目されている中、警察の厳しい取り締まりが影響している様子が浮かび上がっている。ある50代男性によれば、「2023年の9月以降、警察の取締りが強化されており、以前に比べて売春を行う男性の数は大幅に減少し、一晩で見かけるのは2、3人程度です」とのこと。彼は過去に何度か男娼と遊んだ経験があり、「美形の子や人気モデル似の男性もいて、目が合うとウインクをしてくることも」と語る。

これらの男性売春者は、寒い季節であってもミニスカートや胸元が開いた露出の多い服を着用し、その容姿で客を引きつける。交渉が成立すると、一般的には「ヤリ部屋」と呼ばれるアパートの一室で本番行為などのサービスが提供される。この男性は、「特定のマンションが全室、その目的で貸し出されていることもある。ただし、部屋の使用料が発生するため、路上や近くの駐車場、アパートの踊り場でサービスを行う男娼も少なくない」と述べている。

横浜・関内地区、特に若葉町とその隣接する末吉町における公然の売春行為が地元住民の間で問題視されています。末吉町に10年以上居住している30代の男性住民は、地域内での男性売春者(男娼)の存在に強い不快感を感じています。「当初は男性の立ちんぼがいるとは思わなかった。通りを歩いていると、しばしば彼らに腕を引っ張られたり、耳元で『遊びませんか?』とささやかれることもある」と述べ、その行為に日常的なストレスを感じていることを明かしました。

また、別の60代男性住民は、自宅マンション隣の駐車場で目撃した売春行為が心理的な負担となっていると語ります。「自室のベランダから見下ろせる駐車場で、何度も売春行為を目撃してしまった。車の陰での口淫や、隅での性行為を見てしまい、それがトラウマになっています。地域の現状をある程度割り切ってはいますが、公共の場での性行為だけは許容できない」と述べ、改善を求めています。

これらの証言は、地域内での売春行為がいかに日常的な景色となっているかを示しており、住民の間での不安や不満が高まっていることを物語っています。

このような状況は地域社会にさまざまな影響を与えており、警察の取り締まりは一時的な効果に留まっている可能性がある。地域の治安維持や公衆の道徳に対する課題として、さらなる対策が求められている状況だ。

地元の商店主、山田さんはこの地域に長く住んでいる。彼の店は小さな電器店で、昔ながらの看板がかすれている。「去年の春には30人は立っていたよ。何度も警察に『立ちんぼをなんとかしてくれ』と泣きついたこともあり、去年の夏頃からようやく動いてくれた。逮捕者も出て一時期は随分落ち着いたんですが、また最近になってちょこちょこ現れるようになった」と彼は憤る。
「警察が来ても、しばらくするとまた戻ってくるんだよね。それで、また問題が起きる。この繰り返しさ」と山田さんは言う。彼の話は、この地域でのイタチごっこがいかに根深い問題であるかを物語っていた。

その夜、私は更に深く若葉町を歩いた。路地を一つ入ると、そこには三人の外国人女性が立ち、通り過ぎる男性に声をかけていた。彼女たちの周囲では、時折、車のドアが閉まる音が聞こえる。ビルの陰で何が行われているのか、言葉にするまでもない。

夜が更に深まると、路地にはさらに多くの人々が集まってきた。タイ料理店の店員、アリサはタイから来日して5年になる。「食事を終えたタイ人女性のお客さんが店から出て帰ろうとしたら、日本人男性がしつこく声をかけてきたんですよ。売春婦だと勘違いしてたみたいで、お客さんは本当に迷惑していました」と彼女は語る。
僕はアリサに、この地域の変化について尋ねた。「最近、また女性が増えてきましたね。昔に比べると少ないですが、やはり影響は大きいです。ここは昔からそういう場所だと思われがちで、それがすべての外国人女性に対する見方に影響しているように感じます」と彼女は言った。

深夜、僕は最後にソムと再会した。彼は「逮捕されても国に帰るだけだから」と言っていたが、その言葉にはどこか諦めのようなものが感じられた。この地での生活、そして彼の未来について聞いてみた。「ここで稼げるうちはいるよ。でも、いつかは帰るつもりさ。ここは一時的な場所だから」とソムは言った。

この街の夜は長く、問題は根深い。警察の検挙があっても、状況は一時的にしか改善されない。地区での見回りが強化されても、それが抑止力にはなっていない。再びこの地に戻ってくる彼らを、私たちはただ傍観者として見るしかなかった。深い溜め息とともに、夜は更けていく。

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